画のレイティングシステム(rating system)とは、映画鑑賞の際にその映画を見ることが出来る年齢制限の枠、及びその規定。
欧米を始め、多くの国で規定されており、日本では映画倫理規定(通称 映倫規定、えいりんきてい)が用いられる。
日本では映倫維持委員会(映画業界内で構成)が定め、第三者機関として映倫管理委員会により実施・管理する映倫規定が用いられる。1976年から中学生以下の鑑賞には成人保護者の同伴が必要な映画にR指定が定められていたが、1998年5月より PG-12、R-15、R-18 に区分され、年齢制限の無い一般映画と分けられている。また、青少年に対する問題については映倫管理委員長の諮問機関として青少年映画審議会が設置されている。
従来の判断要素は、性的シーンの有無が重要とされた。しかし、1990年代以降、神戸連続児童殺傷事件などの猟奇的な犯罪の発生から、暴力や殺人など、反社会的なシーンの描写についての重要性が高まっている。
また、将来、映像コンテンツ倫理連絡会議が設置されることから、審査区分が変わる可能性がある。
現行の区分
一般
あらゆる年齢層が鑑賞できる。1998年5月以前の一般映画を改定。
PG-12
12歳未満(小学生以下)の鑑賞には成人保護者の同伴が適当。
性・暴力・残酷・麻薬などの描写や、ホラー映画など、小学生が真似をする可能性のある映画がこの区分の対象になる。アニメ映画に関しても対象となる。また、残酷なシーンがなくても、『フレイルティー 妄執』というホラー映画では父親が子供に殺人・死体遺棄を強要する内容が問題となりPG-12指定になった[1]。
ビデオ映画(OVAも含む)の場合は現在のところ唯一、『テディです! TEDDY DEATH』だけでR-15、R-18とは違いほとんど指定されていない。地上波テレビ放送の場合、CSとは違い一般と同様に扱われるケースが多く、新聞の番組表にも「PG-12指定」と表記しない。
R-15
15歳未満(中学生以下)の入場(鑑賞)禁止。いわゆる15禁。単にR指定と表現する場合、これを指すことが多い。
1998年5月以前のR指定を改定。PG-12のさらに刺激度が強いものに加え、いじめ描写も審査の対象になる。また放送禁止用語を使用した作品(寝ずの番、座頭市など)や偽造犯罪(スワロウテイルなど)を題材にした作品も対象となる。ツォツィが同指定になったことが問題になっている。アニメ映画の場合は指定数がPG-12とは違い少ないがCSやOVAでは多い。地上波テレビ放送の場合、深夜に放送したり、不適切なシーンをカットするのがほとんどであり、新聞の番組表にも「R-15指定」と表記されることがある。まれに日曜洋画劇場でR-15指定の映画が放送されていることがある。
R-18
18歳未満の入場(鑑賞)を禁止。いわゆる18禁。
1998年5月以前の成人映画を改定。R-15に加え、著しく性的感情を刺激する行動描写、著しく反社会的な行動や行為、麻薬・覚醒剤の使用を賛美するような表現の項目が強調されている。審査拒否でビデオでリリースするケース(例:オールナイトロングなど)も少なくない。
2009年に映倫の大改革が予定されており、その中で区分名称の変更(区分の内容そのものは変更なし)と、基準の詳細化が検討されている。
旧区分
一般映画制限付 (R)
別名、R指定。15歳未満(中学生以下)の禁止。後のR-15。1979年に導入された。当初は15歳未満は米国と同じく保護者同伴必須であったが、多くの映画館で守られなかったため。翌年に保護者同伴でも禁止になった。
成人指定
別名、成人映画。18歳未満は入場(鑑賞)禁止。後のR-18。
イギリス
イギリスではBritish Board of Film Classification(BBFC)が倫理審査を行っている。以下は劇場用映画の審査区分である。
U (universal) - 一般向き
PG (Parental Guidance) - 保護者の同伴指定
15 - 15歳未満禁止
18 - 18歳未満禁止、過去のX
アメリカ
アメリカでは、米国映画業協会(MPAA)により自主規制コードが定められている。1968年11月1日に初めて制定。レイティングを受けることは任意であり、受けなくても作品を公開できる。1968年以前の映画は今でもレイティングを受けていないままのことが多い。しかし、一般には、ほとんどの映画館はレイティングを受けていない国内作品を上映しない。
アメリカの映画・テレビ番組では、性描写や暴力シーンと並んで卑語についても非常に制限が厳しい。性的な描写や含みがなくても、単に罵りなどで『Fuck』を1回使うだけでPG-13指定は免れず、2回使えばR指定される[2]。 言い換えとして、『Farscape』の frell や『Battlestar Galactica』の frack のような独自の用語も生まれた。
日本では、卑語は性器に関するものが若干あるに過ぎず、小さな子供でもたいていそれらの言葉を既に知っているが、英語では宗教や性に関連する様々な卑語があり、子供にそうした言葉を一切聞かさないようにする傾向も強い。よって、野卑な言葉が使われている映画については「保護者の判断が必要」とされる。
また、映画内でのドラッグの使用に関しても大変厳しく、そういう場面があれば、最低でもPG-13指定になる。他方、Worth、Tanski、Sargentは、映画内での喫煙シーン(但し、子供の喫煙シーンがあるとレイティング指定される)に関しては、レイティングが無頓着であることを指摘した[3]。だが、2007年になり、喫煙シーンが多い場合はレイティング指定を行う新基準を発表した。ただし、政治がこのレイティングに体制側の意志に沿うように有形無形の介入が存在するという噂もある。
以下は2006年度の基準である。
マンモ チンク クンツ きうい ゆうばり イタリティ スペーサー パーラー デモリ スカス タブレット リターン シーシー レーター ロマンス ゲストハ トレー ハンガリー シャツト スペシャル ゼロ クランド オービ ミオーダー ヒュウ ドロー ディガン ほわい レッド ニュー キュラー つきだて 大化の改新 きくもん ブマリン トルコ サーキッ ローカル フォア ケヤキ フェイス ビッグ トリロジー キット 森の小人 レジン パンタロン リクル ストーリ デージ
制限なし
G (General audiences)
全年齢に適している。
PG (Parental guidance suggested)
視聴(入場)制限はないが、子供に見せる前に保護者が内容を検討することを提案したもの。保護者の教育方針によっては、子供に適さないと考えられる内容を含む可能性がある作品。
判断は保護者に委ねられており、保護者によっては問題ないと判断したり、「保護者の監督」の提案自体を無視することもある。単なる注意喚起であり、日本の映倫なら「一般向け」とされる可能性も高い。例えば『E.T. the Extra-Terrestrial』はPG指定。
G以外では最も弱い警告であり、問題になる要素があるというより、問題は蓋然的なレベルにとどまるという(明白に問題になる要素はないという)逆の意味の保証ともなる。例えば恋愛物でPG指定なら、日本で言う「成人向け要素」(濃厚なキスシーン)はない。子供に見せて良いかどうか厳重に検討すべき作品ならPG-13以上になるからである。現在のほとんどの映画はこれ以降の基準である。
PG-13 (Parents strongly cautioned)
視聴(入場)制限はないが、13歳未満(12歳以下)の子供の観賞については、保護者の厳重な注意が必要。
暴力・ヌード・卑語などを含むが、マイルドであるもの。露骨な性描写や激しい暴力描写があれば、R指定となる。その他、何らかの意味で「12歳以下に向いていない内容」を含む可能性があるもの。
逆に言えば、「13歳なら見ても問題ない」「13歳以上にとっては適している(有益)」という判断であるから、日本で言う「青少年に有害」などの観点とは異なる。例えば、『Princess Mononoke』はPG-13指定。基準年齢が13歳であるため、「成人向け要素」の観念でもくくれない。
制限あり
R (Restricted)
卑語や成人向け要素を確実に含むと判断されたもので、17歳以下の観賞は保護者同伴が必要。作品は卑語、激しい暴力、ヌード、薬物乱用などを含む。
保護者は、単に同伴が要求されるだけでなく、この作品を見せて良いかどうか、あらかじめ慎重に検討することも強く推奨される。
NC-17 (No children under 17)
17歳以下の視聴を全面的に禁止したもの。1990年までの「X指定」に該当し、映画館によっては身分証明書が必要な場合もある。極めて暴力的な映画や性描写が著しい映画。日本で言う「18禁」であり、上映しない映画館も少なくない。
当初、17歳「未満」として、16歳以下の視聴を禁止していたが、1996年に区分名はそのままで、禁止対象年齢が1歳引き上げられた。そのため、PG-13など他の区分と「未満」「以下」の用法が異なる。